
AI企業の借入が急増し、社債発行が過去最高に。
これが国債利回りを押し上げる逆クラウディングアウトを招いている。
当局首脳の関心を集め、債務悪化の懸念を強めている。
何が起きたか
米投資適格社債の発行額は7月までに約1.7兆ドルに達し、前年同期比27%増。ウォール街のベテラン、エド・ヤルデニ氏によると、年間で初の2兆ドル超えが視野に入っている。
なぜ重要か
スコット・ベッセント米財務長官は、AI企業がコストをほぼ度外視して債務を発行していると指摘。AI債への需要が大きいため社債利回りは抑えられ、代わりに国債利回りが上昇する「典型的なクラウディングアウト効果」が生じ、財政赤字と債務を拡大させる可能性がある。
注目点
S&Pグローバルは先月、ハイパースケーラーがリスクフリー債に対して高いプレミアムを支払い、投資家がレバレッジ上昇に警戒感を強めるなど、市場に疲弊の兆候があると警告した。
米国の国家債務は40兆ドルに達し、赤字は2兆ドル、年間債務返済額は1兆ドルに迫る。それでもAIハイパースケーラーは、国債が巨額の借入を吸収している最中でも、社債を容易に発行できている。この異例の構図が従来のクラウディングアウトの図式を逆転させた。エド・ヤルデニ氏が指摘し、フィデリティのユリアン・ティマー氏や連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ氏も同調する見方だ。
AIインフラ向けを中心とした社債の洪水により、社債利回りは国債に対して低く抑えられている。その一方で、国債利回りは市場を調整するために上昇し、債務コストと赤字の増大という悪循環を招く可能性がある。赤字や原油価格、好調な経済など他の要因も利回りに影響するが、AI債務ブームは今や重要な要因となっている。
S&Pグローバルが市場の疲弊を警告していることは、この傾向が永久に続くわけではないことを示唆する。投資家がレバレッジ上昇に慎重になれば社債スプレッドは拡大し、国債利回りへの圧力が和らぐ可能性もある。債券市場と経済全体の双方にとって、今後の注目材料だ。
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