
何が起きたか
1946年創業の従来型空調サプライヤーであるバーティブは、2021年初頭の上場以来、時価総額を110億ドル未満から1090億ドルへと約10倍に拡大させた。元ハネウェル経営者のデビッド・コートCEOは、銀行ではなくグーグルやマイクロソフトといったハイパースケーラーを顧客に据えるよう事業を再編し、AIデータセンターを支える高密度GPUラックの冷却に不可欠な液冷ダイレクト・トゥ・チップ技術に投資した。
なぜ重要か
コート氏は構造的なトレンドを見抜いていた。AI登場前のデータ生成量は年20%で増加していた一方、データセンター容量の伸びは年4%にとどまっており、新たな容量が必要になると判断したのだ。AIを一時的な流行として追うのではなく、バーティブを不可欠なインフラとして位置づけた。2021年の上場以来、バーティブの年率リターンは50.5%で、S&P 500の中でコンフォート・システムズ(55.2%)とエヌビディア(54.9%)に次ぐ3位にランクインしている。当初は注目されない産業企業だったことを考えると驚異的だ。国内の空調関連企業は、AIデータセンター向け冷却技術の需要拡大に追随できるかが今後の焦点となる可能性がある。
注目点
バーティブは2023年初頭、価格設定の甘さから株価が13ドルまで下落(18か月前の約29ドルから約55%安)し、瀕死の状態に陥った。コート氏は2023年1月にCEOをジョルダーノ・アルベルタッツィ氏へ交代させ、研究開発費を売上高比6%に3倍増やした。今後の成否は、ハイパースケーラーがGPUデータセンターを拡張する中で、液冷ダイレクト・トゥ・チップ技術をいかにスケールできるかにかかっている。
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デビッド・コート氏はハネウェルでの実績(15年間で株主リターンをS&P 500に150%上回らせた驚異的な再生)から、他社が衰退事業と見なす中で機会を見出す能力を持っていた。ゴールドマン・サックスが1000社以上を審査した末にバーティブを提示したとき、コート氏にはハネウェル再生を特徴づけたのと同じ低パフォーマンスと利益率拡大の可能性が見えた。重要なのは、コート氏がAIブームをトレンドとして追わなかったことだ。彼はAI自体より前に存在した構造的不均衡を特定した。データ生成量は年20%で増加する一方、データセンター容量は年4%しか伸びておらず、いずれ大規模な新規インフラが必要になると認識した。AI需要が到来したとき、バーティブはすでに解決策の中心に位置していた。
バーティブの初期の業績は、そのテーゼを頓挫させかけた。ニューヨーク証券取引所上場の3週間後にCOVIDが発生し、株価は暴落。ハイパースケーラー顧客を獲得するために機器を過小価格で提供したことが響き、2023年初頭までに株価はピークから約55%下落した。コート氏の対応は直接的なものだった。CEOを、エマソン(およびバーティブの前身)で豊富な経験を持つ機械エンジニアのジョルダーノ・アルベルタッツィ氏に交代させたのだ。同氏は、優れた業務ソリューションは役員室ではなく現場から生まれるという哲学を持っていた。同時にコート氏は研究開発費を売上高比3%から6%に増やし、ハネウェル変革を支えた研究開発主導の手法を踏襲した。しかし決定的な動きは、小型買収を通じてもたらされた。英国の新興企業クールテラとの液冷ダイレクト・トゥ・チップ技術に関する協業だ。この技術は次世代GPUの導入に不可欠とエヌビディア自身が認証しており、従来の空冷競合にはないバーティブの守りの強みとなった。GPU集約型データセンターが拡大する中で、この技術はバーティブの防御可能なアドバンテージとなった。
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