
何が起きたか
オーストリア科学アカデミーが水曜、Apolloを公開する。MistralとSail Replyが構築し、約6億語の歴史的ギリシャ語で学習。チャットボットで研究者に無料提供。
なぜ重要か
Apolloは損傷したパピルスで欠けた語の最も統計的に確からしい候補を提示する。希少な専門家が必要だった作業を加速し得る。
注目点
研究者が候補を信頼するかが試金石。Apolloは単一の答えでなく語の候補群を示し、最終判断は人間の読者に委ねる。
誰に効くか損傷したギリシャ語写本を扱う古典学の研究者、パピルス学者、歴史家は、下書きの読みを迅速に得て、文書の解読ではなく解釈に集中できるようになる。ただし本文は、人間の能力を中心に据えるべきだとしている。
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大学図書館には数十万点の古代ギリシャ語パピルス断片があり、その多くは損傷が激しく、意味はおそらく失われている。傷んだ一片を復元するには、隙間のない文字列で語の区切りを特定し、文書の年代を定め、社会政治的文脈を考量し、参考文献を照合して補う語を選ぶ必要がある。University College LondonのStephen Colvin氏が言うように、これをこなせるほどギリシャ史に通じた人は世界にほとんどいない。Apolloはその専門知識をモデルに織り込むことを狙う。オーストリア科学アカデミーのAnna Dolganov氏によれば、ホメロスを見ればホメロス的ギリシャ語を補い、ドリス系の碑文を見ればドリス方言を使うという。
記事はこれを、研究におけるAIの成果の広がりの中に位置づける。OpenAIが自社モデルで200年来の数学問題を解いたと主張したことや、Google DeepMindが遺伝子変異が分子生物学にどう影響するかを地図化するデータセットを挙げている。Sail ReplyのVlitas氏は、こうして知識を解き放つことは1年前には考えられなかったといい、この技術はラテン語やエジプト語、あるいは大量の資料を索引化することで恩恵を受けるあらゆる分野に広げられると話す。世界最大の古代パピルスコレクションを擁するOxfordのArmand D'Angour氏は、空白に対して3つの語候補を出す機械があれば、作業はかなり速くなると述べる。
焦点は、何を出力できるかよりも、このツールがどう使われるかにかかっているようだ。言語モデルは確率を扱うため、機械が埋めた空白が歴史記録を汚染しかねないという懸念がある。Apolloは研究者が選ぶための語候補を複数提示する設計で、Dolganov氏は人間の能力を残す必要があると主張し、AIによる転写と解釈に完全に依存することが問題の始まりだと警告する。得られるものは大発見というより、古代の暮らしに関する細かな知見や既存の学説の裏づけといった漸進的なものになりそうだが、これらの断片を読める少数の専門家にとって、Apolloが狙うボトルネックは現実のものだ。
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