
コストコのAI提案が約10億ドルの売上を牽引。
変換率は標準の3倍。
2026年度純売上高は2,973億ドルで10.2%増。
何が起きたか
コストコの2026年度通期純売上高は過去最高の2,973億ドルで、前年の2,699億ドルから10.2%増となった。AI活用のおすすめカルーセルは2四半期で約10億ドルのデジタル売上に寄与。第2四半期は4.7億ドル、第3四半期は5億ドル弱を記録し、通常のサイトトラフィックの3倍の変換率を達成した。
なぜ重要か
同社はGoogle Cloud Vertex AIとアクセンチュアと組み、統合データ基盤を構築。オーディエンスセグメントの作成時間を数週間から約30分に短縮した。CFOのゲイリー・ミラーチップ氏は、カルーセルの変換率が標準的なデジタルの基準値の3倍に達したと説明。AIが推定する会員の意図に基づくこうした取り組みが、会員更新率とエグゼクティブ会員の成長を支えている。国内の小売企業は、会員向け推奨表示の変換率向上など、AI活用による販売貢献の可能性を追える立場にある。
注目点
通期の好成績に加え、AI関連施策の会員更新率やエグゼクティブ会員の成長への寄与が持続するかが焦点となる。2026年9月24日前後に予定される第4四半期決算説明会で、純利益と1株当たり利益が公表される見通しだ。
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コストコの過去最高の業績は、会員制倉庫型店の伝統を維持しながら、AIを活用して小売モデルを現代化する同社の姿勢を示している。パーソナライズ表示から需要予測まで、技術投資は実験的な導入ではなく、約10億ドルのデジタル収益や3倍の変換率向上といった測定可能な成果に直結している。ロン・バクリスCEOが「AIはコストコらしい手法そのもの。実用的で会員重視、具体的なビジネス価値に裏打ちされている」と表現する通りだ。
舞台裏では、Google Cloudとアクセンチュアによる統合データ基盤により、オーディエンスセグメントの作成が数週間から30分に短縮され、リアルタイムのパーソナライズが可能になっている。AI検索のトラフィックは3桁成長しており、基準値は低いものの、コストコのカタログがAIシステムで解析可能になったことを示している。検索バーに依存しない時代に向けた、新たなSEOと言えるだろう。Molocoと立ち上げたリテールメディアネットワーク「Costco Velocity」は、会員の行動データで学習したディープニューラルネットワークを使い、純増の売上を測定することを目指す。チャネル間の売上移転ではない、本当の新規需要の創出を重視している。
AI投資の成果は、技術を支える会員基盤を強化している。年間支出が一般会員の約2倍のエグゼクティブ会員は9.1%増の3,970万人。2024年9月の会費値上げ後も更新率は90%を維持し、デジタル施策に関与する会員ほど更新率が高い。一方で、店舗内テクノロジーではまだ遅れをとっている。スキャン&ゴーは試験導入で会計時間を最大20%短縮したが、サムズクラブとの差は縮まりつつも埋まっていない。9月24日の決算説明会で、これらの投資が純利益の成長とAIインフラへの継続投資に結びつくかが明らかになるだろう。
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