
米海軍がShield AIの垂直離着陸AI無人戦闘機X-BATに約5000万ドル投資することを決めた。
滑走路なしで艦船から発艦・着艦できる能力が、海軍の分散戦力展開を可能にするとみられている。
米空軍は既存計画を優先し、投資を見送った。
何が起きたか
Shield AIの垂直離着陸無人戦闘機X-BATに対し、米海軍がおよそ5000万ドルの資金提供を決定した(2026年8月19日頃確認)。海軍のRapid Capabilities OfficeとDefense Innovation Unit(DIU)からの支援で、RIMES計画の下で実施される。一方、空軍は投資を見送り、既存のCollaborative Combat Aircraft計画に集中している。
なぜ重要か
海軍にとって滑走路が不要なジェット機は、駆逐艦や両用強襲艦からも発艦・着艦できる能力を意味し、艦隊全体の航空戦力を大幅に拡張する可能性がある。X-BATはGeneral Electric F110エンジンで駆動し、Hivemindという自律型ソフトウェア(2024年のDARPA試験で有人戦闘機との空戦に勝利した実績がある)を搭載している。空軍は予算と優先順位の制約から慎重な姿勢を取っており、2つの軍種の戦略的判断の分岐が浮き彫りになっている。
注目点
X-BATは2000海里以上の航続距離と5万フィートの上昇限度を謳っており、目標価格は約2700万ドル。初飛行は2026年末前に予定されているが、垂直着陸時の風による翼への影響や自律型ミッション制御の実現可能性には技術的課題が残されている。
Shield AIは2015年にサンディエゴで創業し、V-BATやHivemind自律ソフトウェアで実績を積み重ねてきた。Hivemindは2024年のDARPA試験でX-62A VISTAを有人パイロットと直接対戦させ、自律飛行制御の信頼性を実証している。この技術的基盤が海軍の資金獲得につながった背景とみられる。
海軍と空軍の判断の分岐は、それぞれの運用上の制約と戦略的優先順位の違いを反映している。海軍は艦隊における航空戦力の分散配置を重視しており、滑走路不要という特性が駆逐艦や両用強襲艦といった一般的な艦船での運用を可能にする。対して空軍は予算の限界と既存プログラムの進行中であるという現実的な制約から、未飛行段階のX-BATへの投資よりも、すでに後期段階にある機体の調達に傾注している。Mitchell InstituteのHeather Penney氏が指摘する技術的懸念——垂直着陸時の翼への風の影響や自律ミッション制御の複雑さ——は、空軍の慎重な立場をある程度支えている。海軍の投資が技術実現に成功した場合、空軍が後から採用する可能性も言及されているが、現段階では2つの軍種の資金配分の決定は異なる見通しを反映している。
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